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田床山でチポロサヨとチポロラタシケプ 平成31年1月

平成最後の正月、好天に恵まれた萩市の田床山を登ります。
この山は山頂まで車道が通じているので普通の車で楽々登頂することができるのですが、勿論私は歩いて登ります。
さて、登山口は「吉田松陰生誕地」の背後を通る維新ロード沿いにあるのですが・・・ご覧の通り何とも不穏な空気が漂っており、早くも「勇気ある撤退」の文字が頭の中をちらつきます。

登り始めてすぐの場所に高杉晋作さんの草庵跡があります。
自分がやっているのは「登山」じゃなくて「探検」なんじゃないだろうかと思いながら見つめるシダ藪です。

草庵入口から入っていくと団子岩。
「東行」こと晋作さんはここで何を思いながら隠棲していたのでしょうか。

シダが登山道に盛んに覆いかぶさるのはあまり有難くないですが、明瞭な一本道なので進路を見失う恐れはありません。

途中の眺望はせいぜいこの程度です。

道が広くなり「やれやれ、やっとシダが終わってくれたか」と嬉しくなります。

ぬか喜びでした。

登山者の安全を高めてくれる手すりですが、錆びて曲がっておまけに倒木が乗っかっているとかえって不安が高まります。

擬木階段を登っていくと、萩市の標柱が現れました。

標柱を過ぎてそのまま真っ直ぐ階段を進んでもよいのですが・・・。

右に折れて山頂への近道を進むことにしました。
踏み跡は明瞭、テープも巻かれていて危ないことはないようです。

鞍部に出て頭上が開け、右を見ると山頂に立つ鉄塔が見えます。
あともう一頑張りですが、ここからが全行程中最もきつい登りでした。

山頂の一角に建つKRY山口放送の中継施設。

標高373m、田床山の山頂に到着しました。
正月だから景色を眺めに来た人がけっこういるかもと思っていましたが、結局独り占めの静かな頂上でした。

眼下に広がるのは新年を迎えた城下町萩の町並み。
田床山山頂の魅力を満喫の絶景です。

日本海、萩城、指月山、明倫館、松陰大橋、松本川・・・。

東萩駅、萩橋、雁島橋・・・萩沖の島々も美しいです。

昼食の準備に取り掛かります。
今日は正月なのでそれに相応しい食事にしてみました。

熱々に温めたおかゆにイクラを加えて出来上がり、アイヌ料理「チポロサヨ」です。
生の筋子を使うのが正式なのだそうですが、イクラのしょうゆ漬けで代用しました。
白いおかゆと赤いイクラ、紅白で目出度さ満点です。

手前はじゃがいもとイクラを混ぜた「チポロラタシケプ」。
奥は鮭を包丁で細かく叩いてつみれのようにした「チタタプ」です・・・と言いたいところですが、生食用の生鮭がないので、チタタプとは似ても似つかぬ鮭缶でお茶を濁す事にしました。
この2品も紅白で目出度いです。

新春に相応しい実に紅白なメニュー。
田床山山頂で食べるチポロサヨ・チポロラタシケプ・チタタプのつもりの鮭缶の味はとてもヒンナヒンナでした。

食事を締めくくるのはエバミルクを一缶全部入れる濃い紅茶です。

迂闊な事にマグカップを家に忘れてきてしまったので、EPIバックパッカー型ストーブの収納ケースをカップ代わりに使いました。
このケース、「クッカーとしても使えて便利という触れ込みだが、実際には小さすぎて使えない」という評価が一般的だったようですが、今日は私のピンチを見事に救ってくれました。

萩の町を見ながら飲む「スプーンが立つほど濃い紅茶」の味は格別です。

眺望を存分に楽しんでから来た道を戻り、生誕地にある吉田松陰先生像を仰いで新春の田床山登山は無事終わりました。
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